京都の民泊でのコロナショック

皆様こんにちは

JPRESERVEの宮本です。

京都市内での民泊の状況についてですが、それはそれは甚大な被害が出ています。当社も2月末頃から最近までとても厳しい対応に追われていました。万策尽くすという状況で生き残りをかけて進めていました。別に知って頂きたいわけでも無いのですが、これからV字回復、年単位は考えないといけないでしょう。どこも厳しい現状なので一体、京都のインバウンド向けをターゲットとしている民泊がいかに甚大なダメージを受けているか覗いてみましょう。

 

・被害の全貌(当社の場合)一応フィクションにしておきます。

当社は本当に小さな事業規模です(これでも頑張って3年間やってきましてやっとこ黒字にこぎつけれそうだった)。コロナの影響による試算はオリンピックも無いという形での厳しい予想をしています。8月に前年並みへの回復を見込んで(中国の武漢封鎖から増加のピークまで2.5か月、終息に同じ位必要と仮定して日本では2月から5か月間は事態終息まで必要という条件を仮置き)。年間の売上減少高は対計画比▲4000万円です。確定している4月分までの売上減少額としても▲1800万円。

当社の事業規模は売上6000万円~7000万円の間なので、およそ3分の1近くの売り上げがこの1月~4月に消えているということです。

皆様、御想像してください、報道で甚大なダメージということで京都は騒がれていますが、例えば上場しているホテルチェーン(上場していなくても)で売上規模で考えて頂ければわかりやすいですが、これと一桁も二桁も違うわけです。どれほど甚大なダメージかわかるでしょう。気楽に大変ですねと、これに乗じた販路拡大の営業なんかバンバン来ますが歯が立つレベルでは無いのです。

 

・今、どんなお客様が来ているか

①事情あって帰れない、帰らない海外のお客様:特に入国後に隔離される可能性が高い国、他にはオーストラリアの火災で帰国できずに3か月日本にいる人など。。。2月頃は皆、疲れきっていて悲そうな表情でしたが、最近では、2,3週間の定住に慣れ、やっと生活を営めるレベルに日本に慣れてきたかな?という感じです。大阪、京都、など各地を転々とするのですが、基本は家に引きこもって、親はテレワーク、子供はWeb学習や学校から個別に出される宿題なんかをしています。

②大学生の卒業記念:今日本人で動くのは彼らだけと言ってもいいでしょう。感染しても重症化のリスクが低く(と思っているのかどうかはわかりませんが)、仲間たちと激安の市場を骨の髄まで味わって思い出作りをしています。そりゃそうですよね。。高校生まではとても旅行ができる経済力が無い。社会人は子育て(休校措置も出ており子供たちのケアも大変)、会社の指示もあって旅行を自粛(旅行なんかした日には職場で白い目で見られることでしょう)。その、隙間の大学生が、旺盛に動いています。ただ、彼らに合わせて価格を下げて取り合っている状況があり、価格はとんでもないものになっています。政府の「ミングる」呼びかけどこ吹く風です。

あとは、統計的なデータです。稼働率はわかりやすいですね。あとは特筆すべきはどれくらいの人が見ているかですが、今は閑散期以上にほとんどいないという状況です。

 

 

・代行(いわゆる民泊運営代行)はどうか

特に不動産を所有していない賃貸で民泊をしている方は急激な売り上げの減少でも、固定費は一定という状況に即陥ります。また、皆さんもご存じの通り、悪質ともいえる強烈な賃貸価格で借りています。例えばG社、オーナーから借り上げ額が10万。転貸しで35万なんてこともしています。商売と言えばそれまでですが。(本日最後に追加の話題を書きます。)当社では一気に代行で3件の廃業。そしてもちろん弊社の直営施設でも、4月に開業を予定していた施設を断念、更にこれまで営業を細々と続けていた施設も4月一杯で廃業という形になりました。

今年の最初に24件だった総施設数は・・・

▲3件=コロナウィルスや法令面で違法なことを求めてくるのでこちらから3月で解約 これはどうでもいいとして

▲3件=運営代行

▲1件=直営施設

※1件=直営施設 4月の開業を無期限延期

⇒17件へ一気に減少しています。

急遽廃業の挨拶に町内を回りました。皆さん色々と心配頂きましたが、私は元気ですし、続けます!安心してください★

 

・死に物狂いで生き残りをかけて掛けづり回る

 

本当にコロナが始まってから心身ともに疲弊しました。あらゆる制度を活動させて頂き、当社も生き残りをかけて奔走しました。本当につらかった・・・

>不動産の解約

まずは固定費を下げなければいけないので、賃貸している良質な物件を解約、契約延期。これは本当につらく当社のお金のなる木を捨てていく訳です。通常の売上であればなんとかなっていた施設はコロナの影響を受けてしまうと、常に赤字を垂れ流すだけの施設に変わってしまいます。

>従業員の休業と時短営業の開始

当社では9:00から22:00までの営業時間で、その間、早番と遅番に分かれてフルタイム出勤をして頂いています。この問題が起きて14:00からの営業時間に変え、朝番勤務を完全廃止。話し合いを重ね、休業補償をつけて従業員にお休みを取って頂きました。

それでも個人事業主の方や協力会社の方にも協力頂き、大きく発注を減少させざるを得ない状況でした。

これまで、多くのノウハウを蓄積し、ともに歩んできた方へお仕事を出せない。他の仕事や取引先に傾注していかざるを得なくなる。眠りたくても眠れない状態になります。現在、個人事業主の方や雇用保険未加入(主として学生たち)の補助金の拡充がされればすぐに適用申請の方をバックアップしていきたいと思っています。

国の提供する雇用調整助成金の方も活用致しました。取れる方法はすべて活用させて頂く他、存続のさせることが出来ません・・・

>緊急融資制度の活用

担当の方には大変ご尽力も頂きましたし、親身になって私共の状況を聞いてくださいました。相当な量のご相談を受付されているご様子で、先方も大変な状況下で私共の相談に乗って頂いておりました。感謝の言葉もありません。当社の財務担当も他の仕事がかなり押している中、何度も何度も深夜問わず試算を繰り返し・・本当に生き残りをかけた取り組みを行ってくれました。

 

・事業の後退は2年

これまでもこれからも、地域住民の皆さんとの共生に軸足を置いた運営しかしない為、ご理解を頂けるオーナーとともに、そして、少しづつ自社物件を拡大して取り組んできた3年間ですが、こんなに簡単に目に見えない敵に吹き飛ばされてしまった状況です。他の民泊代行会社のようにセルフチェックインなどを行わないため、運営を受託するまでにかなりの体制の整備を必要とすることと住民様との協議の上で代行をスタートさせるという性質の為、他社よりも非常に大きなビハインドを当社は負っていることもあり、成長スピードは非常に遅いのが弊社の大きな特徴です。単純に2年前に施設外帳場予定地を確保し、事業拡大を計画していたタイミングに戻ったという状況になりました。

 

・マスクやアルコール消毒剤の提供や、無い人への提供など

そのような状況でも、みんなの安全(安心)を守る必要はあります。業務で必要なマスクや普段の健康管理の為にマスクを関係者へ無償で提供致しました。その数、計算すると1万枚。。良心的な仕入れ先が納期はかかるがと確保してくれたことや、国が市場にマスクを開放した際にAmazonなどが法人を優先して適正価格で販売してくれたこともあり、3月一杯分の利用数を関係者に充分に行き渡らせることができました。そして念願のアルコールも調達でき、代替品として使っていた利用を誤ると危険のあるハイターを薄めた消毒液を一時取りやめることができそうです。それでも厳しい経営環境ですので、この安全にかかるコストは厳しいものでした・・・ポケットマネーからも相当出ていきました(笑)銭湯を2日に1回に減らしました。※今は毎日行っています。

 

下世話なお話で、どうでもいいですが、もしも転売していたら・・・

●マスク1万枚調達

仕入れ=だいたい10万円程度かかりました。

転売していたら=一枚200円や300白円で取引されていたので。。。間をとって250万円

少しづつ分けてました(笑)自宅待機をしている人には郵送したりなど。。。中国にいるオーナーもマスクの調達が出来ないということで無償で送ったりしました。

 

●アルコール(パストリーゼ)

やっと届きました~( ;∀;)2か月待ち

仕入れ=一斗缶(17L)9000円前後×4。36000円

転売していたら=一斗缶で一個で46800?? だいたい180000円

ナニコレ!?Amazonさんいいの???

良いか悪いかですが、私達の民泊もホテルが無いのにつけこんで、高額な宿泊費を提供していた時代がありました。任意で旅行(ぜいたく品)をするか選べるのと、必須物資を高額な料金で買わなければならないという性質はちょっと違うかなと思います。ただ、良く民泊業界でも法律に則っていたらOKでしょと声を大にして言う人も居ますし、これらの必須物資も規制されるまでやってOKでしょと考えるのは、性質として民泊業界と似てるな~と思ってしまった。

ま、彼らはビジネスでは教科書通り正しいことをしているとは思いますよ。しかし「人をばかにした商売すんな・・・」と言いたいです。

 

でも、車1台買えますやんか~・・・・もったいないことしたなぁ。後悔ないですけどね(笑)

 

・ゲストハウス譲渡や、購入前にはまず相談してください(相談は無償でのっています)

京都で有名なゲストハウスプランニング会社や設計会社などなど、投資目的で収益不動産を販売しているところには十分注意下さい。連日、「いい条件で事業譲渡の話を頂いたので、御社で運営した場合の試算を頂けますか」という相談のお電話を頂きます。かなり収益性が高く販売元から提案を受けているケースや、施設外帳場などの法令面に準拠したコストを隠されているケースが散見されています。とんでも無い物件をつかんでしまう前に当社へお問い合わせください。保守的なコスト試算を電話で簡単にお伝えし、いかに危険かをご説明させて頂けます

!)こんなケースに注意されてください

マンションタイプの一棟物やプチホテル?という物件。これが相談最多です!

25室以下で部屋の構成が居住空間6畳ひと間⇒絶対にダメです。

京都駅周辺で一部屋当たりの売上はアパホテルなどの大幅な値下げ(一泊5000円です)により、月間平均15万円くらいの売上しかどう頑張っても、なりません。そして、考慮しないといけないのは一棟に複数の居室を設けている物件の場合は常駐スタッフが必要です。朝晩の24時間体制にしたら月間90万円。一部屋つぶして住み込みなどを活用しても、チェックイン可能時間帯には人をカウンターに配置しないといけませんので40万。そこから、清掃代や運営コストなどを諸々引いたら、一部屋当たりの利益は、7万円や8万円など賃貸と同じレベル。事業用なので固定資産税分で大きな損になります。この人員を配置していない試算で提案を受けるケースが殆ど100%に近いと言っても良いぐらいです。

他には主要駅から遠いのに、盛況中などの文言が書かれた物件には要注意です。すぐに事業性が低く手放すことになるでしょう。内装がラグジュアリーであっても、この手の広さの部屋は結果的にビジネスホテルや安いホテルと同じ競争に巻き込まれていきますので、本当にやめておかれた方が良いです。

 

戸建(富裕層目線でパリッと改装したら入りますよ!露天風呂付けましょう!などと営業を受けるケース)

京都駅から10分の徒歩圏内で延床が80㎡くらいの戸建ての場合。不動産取得費用と改装費を4000万円以内に抑えなければ未来は無いとお考え下さい。これで利回りが年8%か9%位にやっとなります(10年で回収しようとする場合の目安)。今ではそれこそパリッと新築で建てられた京町屋で月間売上平均は60万円くらいです。もちろん保有ベースで考えられているのであれば別ですが、ゲストハウスの運用で長期的に収益を上げる目線で考えると、このコスト感が大切です。

ちょうど1年半前ではこのバーは京都駅周辺で5000万円(上の同条件、京都駅から歩いて10分、延床80㎡。5名収容)でした。いかに市場が厳しくなってきていることがおわかりいただけるでしょう。

京都駅から1駅、2駅離れてしまうようなエリアはなおのこと。そして、「パリッと」と、ホントどこの業界でも営業マンは良く言います。何がパリッとやねんと突っ込んでみて下さい(笑)

うまい営業トークにお気をつけください。私は気にしませんので、皆さま、どうぞ相談してください。いかに危ない提案を受けているかわかっておいた方が良いでしょう。

 

というか、嘘ついて収益を水増しするな。そして、祇園で遊ぶな。従業員大事にして。ホンマ。
コロナの影響が出て手放す際に収益について水増しして営業し、買わせることは、以前、銀行に顧客の預金残高をごまかすような社会問題ありましたが、それと一緒なんじゃないですか?

 

 

コロナ騒動で京都市内では当社だけでなく、京都市内の民泊業界自体が大きく揺れています。加えて4月より始まる常駐規制(施設外帳場の適用や駆け付け規制)も加わり、我先にもうかる内に手放してしまおうと、人間性に欠いた話も多く聞こえます。

当社は今後1年間はモグラのようにじっと地中に潜み、なんとかこれまでの事業方針と変えずに地域の皆さんと従業員や協力スタッフ、協力会社さんと生き延びていくことを念頭に頑張っていきたいと思います。

 

他には、このような状況下において、宿泊税の納付です。今、京都で一番しないといけない経済政策、パリッと遅れてませんかね?。結構、すぐにパっとできることな「はず」だとは個人的に思うんですが。いかがなもんなんでしょうかね。

 

それではまた。